さよなら、東京。

23歳から東京に暮らし始めた。留学時代に出会った彼と1年間の遠距離の末、同棲を始めた東京生活3年間の終わりまでの話し。

失恋当日の出来事。

土曜日の明け方、太陽が昇る前。
5年と5ヶ月、遠距離の末に同棲、婚約をしていた彼氏にビンタをかました。

 

都内のある駅前のラーメン屋で、ばちんとビンタの音が響いて、その後の事はあんま覚えていない。

気が付いたらタクシーの中で気持ち悪いくらい泣き喚いていた。

 

浮気、借金、DV、モラハラ

言葉で括れたら、言い訳もできたかもしれない、言い逃れもできたかもしれない。

 

ドライバーのおじさんは、「あんたまだ若いんだから、今別れて良かったじゃない」なんて優しい言葉を掛けてくれて、

この言葉が無かったら、私次の日自殺していたかもしれない。

 

あれから3日目の今まで、あんまり涙が出ない。

あの時気持ち悪いくらい泣き喚いていたからかもしれない。

 

酷い二日酔いで目が覚めた土曜日の正午、布団からずっと出られないまま項垂れてた。

お昼過ぎ、玄関の開く音がして、彼が寝室に入ってきた。

 

「ごめん」

 

謝ったけど、言葉じゃどうにもならない事はもう分かっていた。

その後に出てきた言葉は、何となく予想はできていて、だからその時も涙が出る事はなかった。

 

「別れよう」

 

「そうだね」

 

ああ、今度は本当に終わった。

 

そのままガンガンと痛む頭を抱えて、布団に潜り込んだ。

 

何で21世紀なのに、タイムマシンは無いのかって心から恨んだ。