失恋当日の出来事。
土曜日の明け方、太陽が昇る前。
5年と5ヶ月、遠距離の末に同棲、婚約をしていた彼氏にビンタをかました。
都内のある駅前のラーメン屋で、ばちんとビンタの音が響いて、その後の事はあんま覚えていない。
気が付いたらタクシーの中で気持ち悪いくらい泣き喚いていた。
浮気、借金、DV、モラハラ、
言葉で括れたら、言い訳もできたかもしれない、言い逃れもできたかもしれない。
ドライバーのおじさんは、「あんたまだ若いんだから、今別れて良かったじゃない」なんて優しい言葉を掛けてくれて、
この言葉が無かったら、私次の日自殺していたかもしれない。
あれから3日目の今まで、あんまり涙が出ない。
あの時気持ち悪いくらい泣き喚いていたからかもしれない。
酷い二日酔いで目が覚めた土曜日の正午、布団からずっと出られないまま項垂れてた。
お昼過ぎ、玄関の開く音がして、彼が寝室に入ってきた。
「ごめん」
謝ったけど、言葉じゃどうにもならない事はもう分かっていた。
その後に出てきた言葉は、何となく予想はできていて、だからその時も涙が出る事はなかった。
「別れよう」
「そうだね」
ああ、今度は本当に終わった。
そのままガンガンと痛む頭を抱えて、布団に潜り込んだ。
何で21世紀なのに、タイムマシンは無いのかって心から恨んだ。